山梨大学国際ブドウ・ワインセミナー
ワインテイスティング講座(ブルゴーニュ)
(主催)山梨大学 ワイン科学研究センター

ワインのテロワールの文化的遺産
“The cultural Heritage of the wines of Terroir “

パトリス・ラルマン氏 Dr.Patrice LALLEMAND
Vinifera プロジェクトマネージャー・フランスモンペリエ SupAgro

  • 果実の成熟度
    果実の成熟度はワインのスタイルと製造工程(熟成法、マイクロオキシゲネーション、MLF、補糖の有無など)により決定すべきである。
  • ワインの分類とテロワールの定義
    テロワールの初期の定義は「気候や土壌、水など、与えられた土地における相互的な生態系」である(Seguin1988)。「テロワールの概念があるワイン」と「ブランドによるワイン」がある。
  • ぶどう品種
    1番目の要因は品種。Vitis Viniferaでは2300種。品種により高温に適しているもの(Mourvedre等)や低温に適している品種(Pinot noir等)がある。
  • 気候
    2番目の要因は気候。ブドウ栽培に適した気温は年平均気温が10℃~20℃の地域。北緯30度~50度、南緯30度~40度のあたりが適している。
  • ワイン作りの伝統
    3番目の要因は人類の伝統。ブドウ畑での工夫として川面の光の反射の利用(モーゼル)、スペインLanzarote島での独特な栽培法などがある。製造現場でも様々な工夫がある。
  • ラングドック地方の歴史
    歴史的背景も重要。例えばラングドック地方ではブドウは紀元前600年頃ギリシア伝来、イタリアワインとの競合、イスラム教徒の台頭,運河によるボルドーへの輸送、シトー会の僧侶の貢献、鉄道の開通、フィロキセラによる害、低品質ワインとの戦いなどもテロワールに大きな影響を与えた。
  • 近年のテロワールの定義
    「地域の特有性であり、人々が、長い歴史の中で自然環境と人的要因を相互作用させ、文化的特長、ノウハウ、実践の組み合わせが発展させてきたもの」と解釈できる。
  • フランスの産地呼称の分類
    AOP、IGP等により地域を分類し保護する政策がEU内で行われている。AOPで保護される地域は330に及ぶ。それぞれ厳しい制限を作ることで品質保持に努めている。
  • ブルゴーニュのテロワール
    丘陵と河川、村がある場所などにより、1111年からの長い歴史の中で分類されてきた。品種は白がChardonnay、赤はPinot noirであり比較しやすい。