山梨大学醗酵研究所 研究報告[1254年-1997年]
JOURNAL OF THE INSTITUTE OF
ENOLOGY AND VITICULTURE

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vol.6 (1971)
「ぶどう酒のイオン交換膜による処置について」
The Electrodialysis of Wine Using Ion-selective Membranes
加賀美元男 
Moto-o KAGAMI
pp.1-6[PDF]
 The study of the influence of various ions to the quality of wine has been of considerable interest for many years. It is now well known that the quality of wine is markedly influenced by the presence of Some ionic substances.
 Recently there has been aroused consider interest in the use of ion-selective membranes for the separation of electrolytes from nonelectrolytes or from one another. The introduction of ion-selective membranes for the electrolytic deionization of water of high salt content employing multi compartment cells (fifty or more membranes) suggested the use of these membranes for the stabilization of wine. However, it must be emphasized that desalting by electrodialysis using ion-selective membranes is still in an early stage of development.
 The object of this experiment is to determine the usefulness of the ion-selective memranes for stabilizing and deacidifying wines. The behavior of some typical ions in the wine was investigated in the two kinds of membranes produced by the different manufacturers.  
「ブドウ酒醗酵中の酵母について (第3報)果醪中における亜硫酸の殺酵母作用」
Dynamic Aspect of Yeast-flora during Vinous Fermentation
 Part 3. Effect of Sulfiting or Alcohol Addition on Yeasts in Grape Musts
小原巌,野々村英夫,湯目英郎
Yuwao OHARA, Hideo NONOMURA, and *Hideo YUNOME
pp.7-12[PDF]
 It was found that the wild yeast groups including Apiculate yeasts (A), Torulopsis bacillaris type (T) and Kahm yeast group (K) disappeared immediately after the addition of 150ppm of sulfur dioxide (Must No. 3), whereas there was little differance of the yeast flora between the must sulfited with 75ppm of sulfur dioxide (No.2) and the unsulfited must (No.1).
 Six volume percent of alcohol added to the fresh juice inhibited the develop ment of the A-group (Kloeckèra apiculata) effectively, but of T-group only slightly (Fig.3, No.7). "
 On the other hand, however, it was a remarkable fact that the number of viable cells of the true wine yeast (Saccharomyces cerevisiae) decreased according to the amount of sulfur dioxide added prior to pitching: more than eighty per cent of the total cells died in the must sulfited with 150ppm of sulfur dioxide, and more than ninety five percent with 200ppm, though the damage was slight with 75ppm.
「ブドウ酒醗酵中の酵母について (第5報)各分離菌株の性質(II)」
Dynamic Aspect of Yeast-flora during Vinous Fermentation
 Part 4. Characteristics of Identified Strains" (II)
小原巌,野々村英夫,湯目英郎
Yuwao OHARA, Hideo NONOMURA, and *Hideo YUNOME
pp.13-18[PDF]
 It was found that the wild yeast groups including Apiculate yeasts (A), Torulopsis bacillaris type (T) and Kahm yeast group (K) disappeared immediately after the addition of 150ppm of sulfur dioxide (Must No.3), whereas there was little differance of the yeast flora between the must sulfited with 75ppm of sulfur dioxide (No.2) and the unsulfited must (No.1).
 Six volume percent of alcohol added to the fresh juice inhibited the develop ment of the A-group (Kloeckèra apiculata) effectively, but of T-group only slightly (Fig.3, No.7). "
 On the other hand, however, it was a remarkable fact that the number of viable cells of the true wine yeast (Saccharomyces cerevisiae) decreased according to the amount of sulfur dioxide added prior to pitching: more than eighty per cent of the total cells died in the must sulfited with 150ppm of sulfur dioxide, and more than ninety five percent with 200ppm, though the damage was slight with 75ppm.
「異種酵母の混用によるブドウ酒の醸造試験」
Use of Complex Yeast Cultures In White Wine-Making
大塚謙一, 村木弘行,四条徳崇,増田博,多田靖次
Ken-ichi OTSUKA,Hiroyuki MURAKI,Noritaka SHIJO, Hiroshi MASUDA,and Seiji TADA
pp19-24[PDF]
 Sacch.cereuisiae,Kl.aticulataおよびT・bacillarisの3種の酵母を,それぞれ単独におよび2種ずつ混合して酒母とし、自ブドウ酒の仕込試験を行った。その結果Sacch.cereuisiae単用よりも,他の酵母,特にKl.apiculataを混用したブドウ酒の方がよい利き酒結果を与え,酵母混用によってブドウ酒の酒質を向上させることができる可能性が示 された。試醸酒の分析結果からは,Kl.abiculata,T.bacillarisは韓発酸, 揮発性エステルを増加させるが,特にSacch.cerevisiaeと混用した場合にその増加が著るしいこと,アルデヒドの生成量は Sacch.cerevisiaeより少ないことなどが認められた。
「赤ブドウ酒醸造における破砕果の加熱圧搾について」
Hot-Pressing in Red Wine-Making
村木弘行,四条徳崇,多田靖次
Hiroyuki MURAKI, Noritaka SHIJO, and Seiji TADA
pp. 25-29[PDF]
 赤色グレープジュースの製造に用いられるHot-pressing (破砕果の加熱圧搾) の方法を,試みに赤ブドウ酒醸造に適用して次の結果を得た。
 1) 加熱は果皮を軟化させ,搾汁収量を悪くする。滓もやや多くなる。収量の点からは加熱と皮発酵を併用した方がやや好結果を与える。
 2) 色素・タンニンの溶出は良好で噂にタンニンは著るしく増加する。色素については加熱圧搾のみでも通常の皮発酵法と同程度以上の溶出を示すが,皮発酵を併用すればさらに溶出量が多い。 タンニンは加熱圧搾のみで十分な溶出を示す。
 3) 利き酒の結果は,異香を与えることもなく,色調,渋味の豊かな長酒がえられる。
 4) 発酵管理の面からは,加熱圧搾して果汁のみをとって発酵せしめた方が利点が多い。
 5) 以上を綜合して収量,色素溶出,発酵管理の各点を考えあわせ,破砕具を加熱してから短期間の皮発酵を行ない,そののちに圧搾して搾汁のみを発酵させるのが最良の方法ではないかと思われる。
「ブドウ糖による甘味果実酒の調味試験」
Use of Glucose for Sweet Wine Adulteration in Place of Sucrose
村木弘行,四条徳崇,多田靖次
Hiroyuki MURAKI,Noritaka SHIJO,and Seiji TADA
pp. 31-36[PDF]
 以上の試験結果を総合して考えると次のように要約することができる。
 1) ブドウ糖の甘味慶は種頬によって多少の差はあるが,直接還元糖のみについて考えれば庶糖を1.00として0.60-0.70の範囲にある。 この差はデキストリンその他の成分が酒を濃厚な感じのものとし, これが甘味の感じ方に影響するためと思われる。
 2) ブドウ糖を無糖と混合して用いる場合は,混合物の甘味は必ずしも計算通りにならず,混合比率によって甘味を強く感ずる場合と,そうでない場合とがあるように思われる。
 3)蔗糖のみで調味した酒は平淡でスッキリしている反面酒質が荒い。ブドウ糖を用いたものは濃厚な感じで酒質が丸く,アルコール臭や酸味をカバーする効果がある。しかしブドウ糖が多すぎると濃厚味が過度となるので,適当な比率で蔗糖と混合使用する方が好結果を与える。
 4) 無糖の使用濃度を13g/100mlとした場合,蔗糖の20-30%までは同じ濃度のブドウ糖で代替しても甘味は大して減少せず,酒質も低下することはない。
 5) 同じ甘さになるべき濃度のブドウ糖で無糖を代替する場合には,使用薦糖量の40%住までは酒質を低下させずに代替することができる。
 6) 結晶ブドウ糖は代替使用量を比較的多くしても差支えないが,酒造用ブドウ糖では使用量をやや少なくした方が無難である。 したがって甘味果実酒の調味にブドウ糖を一部使用することは,酒質の面からは十分の可静性があることで,その価格さえ適正であるならば、むしろ横極的な切替えも期待できるであろう。
「ブドウ酒醸造における皮発酵期間について (第1報)赤ブドウ酒醸造における皮発酵期間」  
Experiments on the Skin Fermentation of Grapes Part 1. Skin Fermentation Red Wine-Making
四条徳崇,村木弘行,多田靖次
Noritaka SHIJO, Hiroyuki MURAKI,and Seij TADA
pp. 37-40[PDF]
 皮発酵の月数を変えて赤ブドウ酒の壊迄を試み,次の結果をえた。
 1) タンニンの溶出は,主発酵の終る頃には飽和に達し,それ以上は増加しないが,色素を十分に溶出させるためには,さらに長い期間を必要とする。
 2) 皮発酵の期間が長いほど不揮発酸は減少する。
 3) 皮発酵が長すぎると異香を付与して利き酒の結果がよくない。
 4) 皮発酵9日間のものが最もよい利き酒結果を与えた。
 5) 新手酉の収量は3日間の皮発酵で,すでに最大となり,それ以上に長くなると,かえって減少の傾向さえ示す。
「ブドウ酒醸造における皮発酵期間について (第2報)白ブドウ酒醸造におけるカモシ」
Experiments on the Skin Fermentation of Grapes Part2. Prefermentation in White Wine-Making
四条徳崇,村木弘行,大塚謙一,多田靖次
Noritaka SHIJO, Hiroyuki MURAKI, Ken-ichi OTSUKA, and Seiji TADA
pp. 41-45[PDF]
 白ブドウ酒醸造において,破砕具から果汁を採取する前に軽度の皮発酵を行なわせ(いわゆるカモシ),その発酵期間の長さが収量,酒質におよぼす影響を検討して次の結果をえた。
 1) 搾汁収量を最大にするためには発酵開始後3日のカモシを要する。
 2) 搾汁から滓のできる量も3-4日のカモシを行なった方が少なかった。
 3) しかしタンニン溶出量は3日のカモシで既に最大量に達し,生成酒に強い渋味を与える。
 4) 色素も3- 4日のカモシでは著るしく多くなるが, タンニンと異なるところは, 3では最大に達せず, 4日のものでは更に増加を示すことである。
 5) 不堆発酸は,液仕込と比べて1-2日のカモシでは減少するが3-4日のカモシでは,かえって増加して液仕込の場合に近い値となる。
 6) 揮発酸は0-4日の間でカモシが長くなるにつれて減少した。
 7) 利き酒の結果は1日間カモシのものが最も良く,液仕込のものよりすぐれていた。 3日間, 4日間のカモシでは渋味,着色の点から白ブドウ酒としては不適であるが,香は強く,ポート原酒としては長いかもしれない。
 8)総合して考えると,1日程度のカモシで自然流下果汁をとって, これを白ブドウ酒とし,それからさらに2-3日間のカモシの後に圧搾して,その搾汁はポート原酒に向けるのが最もよい方方法と思われる。
「白ブドウ酒のカモシ醸造について (第1報)ブドウ果実破砕方法について」
Studies on White Wine Making by Means of the Prefermentation on Skins
 Part1. On the Method of Crushings
楠田忠衛,丸山智幸
Tadae KUSHIDA and Chiaki MARUYAMA 
pp.47-50[PDF]
 ブドウ果実の破砕方港を変えた白ブ ドウ酒の皮仕込醸造を此較試験した。Waring Blenderで果実を粉砕して仕込むと酒液の収量は増加するが,酒精,エキス, 金窒素などが少なく,酸分の多い酒が得られる。ペクチン分解酵素剤 (スクラーゼ)を併用した場合にはその傾向が著しくなる。 これらは水分が多く,酸分の多い果皮の成分が抽出されやすくなるためである。このような酒はpHが多く,貯蔵中にマロ・ラクチック発酵による減酸作用が起こりにくい。なお Waring Blenderで更によく粉砕すると、恐らく一部分種子が破壊されるために,全窒素が増し,酸分が増加するのに反ってpHが上りマロ・ラクチック発酵が起り易くなることが観察された。
「白ブドウ酒のカモシ醸造について (第2報)混濁とその清澄法について」
Studies on White Wine Making by Means of the Prefermentation, on Skins  
 Part2. Clouding Problems of the Wine Fermented with Grape Skins
楠田忠衛
Tadao KUSHIDA
pp. 51-56[PDF]
 皮仕込をした白ブドウ酒でひどく混濁し,香味の悪い材料を使用して各種の清旋よる清澄試験を行なった。
 供試品はそのまゝでは石綿濾過はかなり困難であるが,適量のベントナイト、アルブミンまたはゼラチンなどの処理によって容易に清澄させることができた。清澄ブドウ酒はどの方法によるものも酸分が減少し,香味が著しく改良された。
 ベントナイトの適量は混濁物を凝集沈澱させる作用があって,酒質に変化を与えることは最も少ないと思われる。アルブミンやゼラチン処理は蛋白質の一部を酒液中に溶出させ、またタンニン色素類を減少させるがその減少量はアルブミンでは少ないがゼラチンではかなり多い。
 供試ブドウ酒の混濁物は主として酒石と蛋白質を含むもので,香の悪い物質である。
 皮仕込自ブドウ酒では一般にタンニンや色素類が多過ぎて品質が悪いのでこのようなブドウ酒の清澄には操作が簡単で効果も一番確実なゼラチン清澄法が最も合理的のようである。なお清澄はできるだけ早期に行なう方がよいと考える。
「ブドウ酒防腐剤に関する研究 (第3報)ビタミンK₃による再発酵防止試験」
Studies on the Pleseivatieves of the Wine
 Part3. Controlling Re-fermentation with Vitamine K₃
楠田忠衛,丸山智章
Tadae KUSHIDA and Chiaki MARUYAMA 
pp. 57-64[PDF]
 前報でV.K₃が他の防腐剤に比較して効力が大きく,50-100ppmで菌の繁殖を完全に防止するが,V.K₃は特異の刺戟味があるためブドウ酒にはこの量を使用できないこと,香味を害さない量は20ppm 以下であることなどを報告した。
 今回はV.K₃を実際的に利用することを考え,自然に清澄された自ブ下ウ酒 (新酒)に煮糖を添加し,V.K₃を種々の濃度に加えて,20-30℃に置き,微生物によっておこるブドウ酒の成分変化を調べて,V.K₃の効力を亜硫酸と比較して判定した。
 蔗糖を10%加えて綿栓して放置したブドウ酒の糖分の変化を測定し, No.1(V.K₃ 4ppm) No.7(SO₃ 100ppm)より効力が強く,30-40日間は再発酵が認められなかった.No.2(V.K₃ 8ppm) No.8(SO₂ 200ppm)より効力が強く,40-50日間,またNo.3(V.K₃ 16ppm)では実験期間 (100日)を通じて再発酵を防止した。
 蔗糖を3%添加して開栓のまゝ放置したブドウ酒の場合, No.1-2(V.K₃ 4-8ppm) では 60,No.3(V.K₃ 16ppm)では120 ,No.4(V.K₃ 32ppm)では全期間(180日)産膜酵母の生成を防止し,また種発酸を増加しなかった。
 ブドウ酒の色調はV.K₃を添加すると,亜硫酸とは全く逆に,添加量が増すに従って波400mμ附近で吸収が増し,ブドウ酒を貯蔵すると,さらに色調が増加し,その増加の割合は班長450-500mμ附近で著しいようである。 
「本邦産本邦産ブドウ酒の酸味調節に関する研究 (第2報)Black Queenブドウ果膠の除酸について」
Studies on the Deacidification of Japanese Grape Musts and Wines
 Part 2. On the Chemical Deacidification of Grape Mashes
櫛田忠衛,丸山智章
Tadae KUSHIDA and Chiaki MARUYAMA
pp.65-70[PDF]
 果醇を炭酸石灰で除酸して醸造する赤ブドウ酒は,果汁を除酸して醸造する白ブドウ酒の場合と同様に,除酸によって発酵が促進されて糖分の食い切りが早いが,糖以外のエキス分が増加し,また蛋白態窒素が増加する.除酸による稔酸分の減少はブドウ酒になれば予期以上に小さいが, pHの上昇は明らかに認められる。また除酸によって赤ブドウ酒の色素が減少するがその状態は除酸の程度が低い時は赤系統の色を損失し,強く除酸すると赤色以外に黄色系統の色も損失して薄色になるようである。
 果醇を除酸して赤ブドウ酒を醸造する際,果汁除酸の場合とは違って,酵中の全酸分や水分をあらかじめ測ることは困難であり,また皮仕込中に酸分組成が変化するものであるから,正しい除酸量を決定することは困難である。 しかしBlack Queenは元来酸の多いブドウ品種であるから,常法のように醸造すると一般に酸が多くてpHが低く,長く貯蔵しても,細菌による液酸作用が起りにくいブドウ酒ができる。従ってこの種のブドウは適当に除酸して仕込を行なう方がよいように思われる。その除酸の程度はもちろん原料ブドウの酸分に応じて変化させるものであるが,本実験の如く果汁酸分が15.9g/lのように多い時には,ブドウ100kgに対して沈降性炭酸カルシウム200-250gを加えて仕込むことが適当ではないかと思われる。
「ミカンの果汁を混和した白ブドウ酒の試醸成績」
Experiments with the Addition of Orange Juice the Must in White Wine Making
小原巌,加賀美元男
Yuwao OHARA and Moto-o KAGAMI
pp.71-75[PDF]
 甲州種を原料とする白ブドウ酒の香味を増強せしめる一手段として原料ブドウ果汁にミカンの果汁を一部混和して壌造を行ない,生成ブドウ酒の成分的な変化及び品質上の相違点を比較検討した。
 1) ミカン果汁を混醸したものはクエン酸及び乳酸が多く総酸度も高い割合に樺発酸の増加は認められなかった。
 2) 揮発性エステルの含有量は,いずれも余り大差は認められなかったが,絵エステルの値はミカン果汁を混和して製造することにより明らかに増加した。
 3) 鉄イオンはその含有されている状態とその量において顕著な変化が認められ,ミカンの果汁を混和して製造したものの鉄イオンは総べて第二鉄塩の形で存在し且つ溶存含有量が大きいにかかわらず,酒の清澄度は返って良好であった。
 4) ミカン果汁を混和したものは灰分及びそのアルカリ度が増大し, また全窒素も多くなったが,製品の品質を対照区と比較鑑定した結果,香気並びに呈味に著しい変化は認められなかった。
「土壌中における放線菌の分布 (第3報)分群及び分布状態について」
Distribution of Aetinomycetes in the Soil
 Part3. Grouping of lsolates and their Frequency of Isolation
野々村英夫,小原厳
Hideo NONOMURA and Yuwao OHARA
pp.77-88[PDF]
 わが国各地の土壌から, Soilextractagar.の平板培養法で放線菌を計数,分離し,それら試料における分布状態を比較した。
 1) 土壌微生物仝生菌数は,供試土壌によって,100倍程度の相違(乾土1g当り数万から数千万)を認めたが,放線菌数は概して細菌と変動を共にし,総菌数に対する割合14±6%であった。 また,土壌微生物数は,土壌の種類を比較する場合には,その水分, pH,灼熱損量などとの間に直接的な関係は認められなかった。
 2) 供試土壌20種から分離した400余株の放線菌を通算して,主な放線菌の種類とその分離頻度は次のようであった。
 この分離頻度の高いものは概ね同時に広い分布を示していたが,土壌試料別にも,優性群 の変動が認められた。
 3) 群別,土壌別の分離株について,生理的性質の試験を行なったClosed spira1- brownisb spore(BC)群にはメラノイド色素を生成して硝酸塩を還元しない株が多く, また放線菌で繊維素を利用できる株は少ないが, Grayish spore群で, 紫色乃至青色の可溶性色素を生ずる株には繊維素を盛んに利用するものが比較的多くみられた。全試料を平均すると, ヌラノイド色素生成株50%,硝酸塩還元株 40%,繊維素資化株20%,ゼラチン液化株70%, 澱粉分解株80%であった。そのうちメラノイド色素生成,硝酸塩還元性などが,土壌試料による偏差が大で試料により0-100%の相違があった。
 4) 同一場所の土壌では作物の種類または耕作状態,湛水等によって微生物分布に変化を認めたが,それは自然状態である限り,供試土壌の種類によってみられた相違より少ないようである。実験室的乾燥,長期湛水等では大きい変動をきたすが,それも放線菌の種類を極端に変えることはないようであった。
 5) 気菌糸をよく生成する培地を比較した結果GlucoseAsparagineagar,Potatoagar稀釈CB agar, Oatmealagar等が良く,メラノイド色素の生成はNutrientagar, EMMERSON'Sagar, Nitratebrotb等のペプトン,肉エキスを多く含有する培地が顕著であった。
 An attempt was made to survey the distribution of actinomycetes in soils from many different places in Japan. The emphasis was laid on kinds of actinomycetes as well as on the numbers.
 1) Soil extract agar(4) was used for making plate counts of general bacteria and actinomycetes. Some suitable media were selected;for formation of aerial mycelium and sporulation, such as glucose asparagine agar, potato agar, diluted CB agar and oat meal agar ; for observing pigmentation, such as nutrient agar, EMMERSON’S agar, and nitrate broth which contain a large amount of peptone or meat extract.
 2) The total numbers of microorganisms varied twenty soils from fifty thousand to fifty million sper gram of dry soil without direct correlation to the pH, moisture, loss of ignition or latitude of the soils. However the ratio of actnomycetes to the total numbers of microbes did not so greatly vary with the soils,14±6 percent as average.
 3) About four hundred isolates of actinomycetes were classified into several groups according to the morphology of sporophores and sporecolors. A summary of the dominant groups and their isolation frequencies is presented in TABLE IX and Ⅵ.
 4) Some physiological properties of actinomycetes were examined on each soil sample (TABLE VII). It was noted that fluctuations of the ratio of pigmenting or nitrate reducing strains to total isolates were so great in percentage, ranging from 0 to 100 by the kind of soils.
 There were more isolates which are able to utilize cellulose as a sole source of carbon, in the near relations of Streptomyces viridochromogenes.
 5) The microbial population varied with soil conditions or environments, but in natural condition the change in a same soil seemed to be not so much as could be seen among different soil types. And in this case, it was supposed that, even if the population varied, the chief components of the group of actinomycetes would not be changed so radically (TABLE VIII).
pp.89-90[PDF][抄録]
「ブドウ酒防腐剤に関する研究 (第2報)防腐剤がブドウ酒の品質に及ぼす影響について」[農産技研誌 6, 1 (1959)]
Studies on the Preservatives of Wine. Part 2. Influences of Various Preservatives on Wine Quarities.
櫛田忠衛,丸山智章
Tadae KUSHIDA Chiaki MARUYAMA 
 当研究所で醸造し、1年間貯蓄した甲州種(白)とBlack Queen(赤)の生ブドウ酒に、ビタミンK₃(V、K₃),デヒドロ酢酸ナトリウム(DHA),安息香酸ブチルエステル(POBb),サリチル酸(SA)及びソルビン酸(SOA)をそれぞれ20~1000ppm添加して瓶詰し、220℃の恒温室に11か月放置後、酒質の変化を利き酒と化学分析によって判断した。
「本邦産ブドウ酒の酸味調節に関する研究 (第1報)甲州種ブドウ果汁の除酸について」[醸酵協会誌 17,17(1959) ][農産技研誌 6, 1 (1959)]
Studies on the deacidification of Japanese Grape Musts and Wines. Part1. On the Chemical Deacidification of Koshu-grape Must.
櫛田忠衛,丸山智章
Tadae KUSHIDA and Chiaki MARUYAMA 
 昭和32年産供試甲州ブドウ種ブドウ果汁の酸分は10.4g/lで例年より多く、また濃縮果汁は16.6g/lとなった。本実験では果汁の酸分を3g/l除去するために、沈殿性炭酸カルシウムや炭酸カリウムを加えた区分;遊離の酒石酸を1g/l除去するために、中性酒石酸カルシウムや炭酸カリウムを加えた区分;濃縮果汁の酸分を5g/l除去するために、沈殿性炭酸カルシウムを加えた区分などを作り、対照をおいて比較試験した。
山梨大学大学院 総合研究部附属 ワイン科学研究センター
The Institute of Enology and Viticulture, University of Yamanashi
所在地:〒400-0005 山梨県甲府市北新1丁目13-1

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