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"France’s new interest in non-Vitis vinifera hybrids; a step back or the latest challenge for the future of viticulture? " |
フランス ボルドー大学 醸造学部 |
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1. フランスでのブドウ栽培と減農薬への流れ 2009年のEcophyto計画に従い、農薬を大幅に減らす計画である。フランスにおいてブドウ産業は大きく、多量の農薬(殺菌剤,殺虫剤,除草剤など)を使用している。栽培における最適化により30%、抵抗品種を作出できれば75%の農薬を減らせる可能性がある。 2. ハイブリッドの作出の必要性 フランスではほとんどすべてのワイン用ブドウがVitis viniferaであり、ベト病やウドンコ病に対する抵抗性が無い。そこで病害抵抗性を持つ野生ブドウなどの交配で新品種を作ることが行われている。この場合、ワインの品質が受け入れられることが重要である。2020-2050年までに30~50種類の新品種を作る予定である。これらの品種を受け入れるには様々な議論があるが、現在使われている品種も歴史が長いわけではない。 3. フランスでのハイブリッドの歴史 フィロキセラへの対応品種を作るため、アメリカ系品種とのハイブリットは一時期40万 haもあったが,接木法が開発されたことで,これは5000 haまで減った。しかし,遺伝資源として抵抗性品種について情報を収集する必要が高まっている。地方色を持った抵抗性品種の作出も今後重要になる。 4. ワインと官能品質の重要性 交雑によりワインの品質が下がっては困るので,農学・環境生理学・植物病理学・醸造学・官能学など多くの分野からの研究が必要である。非Vinifera種の特徴でもあるFoxyフレーバー、フラネオール(Viniferaにも存在)、アントシアニンやタンニンの違いなどを考慮する必要がある。 5. 抵抗性品種の今後の可能性 農薬低減,気候への対応、ワイン品質、地方色の尊重、グランヴァンの存続・価値創造・法律の改変など多くの課題がある。山梨大や京都大も参画しているOenoviti Internationalの加盟国など、多くの国で抵抗性品種の作出に向けた努力が行われている。従って、作出のスピードは速い。しかし、それからできるワインの品質について毎回評価する必要がある。地方性も考え、多くの遺伝資源について基礎データの情報交換が重要である。 6. 日本の課題と展望 現在の日本のハイブリットは、ワインにした場合、非Viniferaの特徴が強く、西洋人の消費者には評価が低い。和食との組合せについても理解されていない。日本はハイブリットにおいては進んでいる。ボルドー大や山梨大、他の研究機関との共同研究により知見を共有することが重要である。Oenoviti Internationalの活用も有用である。 |
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