ワイン科学研究センター機能成分学研究部門
教授 1945.11.26. 生
東北大・農・博・70修了/博士（農学・東北大）
連絡先 郵便番号400 甲府市北新1-13-1 山梨大学ワイン科学研究センター
電話 055-220-8608 FAX 055-220-8608
E-mail yokotsuk@ccn.yamanashi.ac.jp
専門分野：ブドウ・ワイン学，機能食品化学
研究の位置付け：1960年，日本産ブドウとワインの醸造学的研究をワインのタンパク質混濁に関する研究から着手した。この研究ではワイン中の可溶性タンパク質の分子レベルでの解明を目指し，またタンパク質と高分子フェノールとの相互作用による混濁の形成や呈味の変化など，ワインの品質との関連について研究した。研究開始当時，ワインタンパク質はほとんど注目されなかったが，その後世界の多くのワイン研究者が本課題に取り組むようになった。現在，ペプチドあるいは蛋白質とプロシアニジンやタンニンとの結合部位や結合様式の研究へと発展している。
1980年頃より，ワインの色調や苦味，渋みに関連したポリフェノールに関する研究をカリフォルニア大学との共同研究として開始した。無色フラボノイド型フェノール及び赤色アントシアニンを分離し，構造を解明するとともに，フェノールの酵素酸化によって生じたキノンが，本来酵素の基質とならない無色フェノールや赤色アントシアニンに結合し，脱色されることを明らかにした。
我が国の気候風土は，ワイン用ブドウの栽培に必ずしも適していない。アロマやフレーバーに乏しく，糖度や酸度が低い。しかし，ブドウ・ワイン産業はそれらの栽培規模，製造規模に左右されない。また，ブドウ栽培は，北海道東部の極寒冷地を除くすべての地域で可能であり，かつ耕作可能地が少ない我が国の傾斜地農業に適している。これらのことより，遺伝子・細胞工学的手法で高温多湿の気候風土に適したブドウ品種を作出する研究を行っている。
所属学会：American Society for Enology and Viticulture （ASEV,
Chapter Liaison Committee委員，Technical Projects Committee 委員），ASEV日本ブドウ・ワイン学会（1984〜，エグゼクティブ・ディレクター，事務局長，編集委員），日本農芸化学会，日本醸造学会（1997〜，編集委員），日本食品科学工学会，日本生物工学会
学術関係の受賞：アメリカブドウ・ワイン学会(ASEV)特別功労賞(1990). 日本醸造協会技術賞（1996）.日本ブドウ・ワイン学会論文賞（2002）.
研究業績（1992.4.1〜1997.3.31）
学術書
（1）『バイオリアクターの世界』（共著）（株）ハリオ研究所 (1992)
（2）『ワイン学入門』（共著）山梨日々新聞社（1994）
（3）『ワインの製造技術』山梨日々新聞社（1994）
（4）『ワイン学入門』（共著）山梨日々新聞社（1996）
学術論文
(1) Estimation of active site residues essential for activity
of grape invertase by chemical modifications. （共著）Journal of Applied
Glycoscience, 42 (1995) 121-128.
(2) Interactive precipitation between phenolic fractions and peptides
in wine-like model solutions: turbidity, particle size, and residual
content as influenced by pH, temperature and peptide concentration.
（共著）Am. J. Enol. Vitic. 46 (1995) 329-338.
(3) Trans-resveratrol concentrations in berry skins and wines
from grapes grown in Japan. （共著）Am. J. Enol. Vitic. 47 (1996)
93-99.
(4) Grape seed nitrogenous components and possible contribution
to wines. （共著）Am J. Enol. Vitic. 47 (1996) 1-11.
(5) Inhibitory effect of paprika seed extract on the growth of
yeast. （共著） Food Science and Technology, International 2 (1996)
234-238 .
(6) Disapearance of anthocyanins as grape juice is prepared and
oxidized with PPO and PPO substrates.（共著）Am J. Enol. Vitic. (1997)
13-25.
(7) Glycoproteins: Characterization in a hybrid grape variety
(Muscat Bailey A) juice, fermenting must, and resultant red wine.
（共著）Am J. Enol. Vitic. 48 (1997) 100-114.
その他
研究報告・紀要論文
ブドウ果実中の不溶性インベルターゼの発現と分布（活性染色を用いたインベルターゼ活性の検出）．（共著）山梨大発研報告，29 (1994)
7-11.
その他
学会発表等
(1) Factors affecting cell leakage from gels during sparkling
wine fermentation using immobilized yeast. 45th Annual Meeting
of the American Society for Enology and Viticulture, Anaheim,
CA, USA. Technical abstract, 23 (1994).
(2) 石灰礫土壌施用が赤ワイン用ブドウの果皮のアントシアニン組成に及ぼす影響．ASEV日本ブドウ・ワイン学会．講演要旨集
143-146 (1994).
その他
その他の研究成果
（1）ワインの品質とフェノール化合物（総説）．日本食品科学工学会誌．42 (1995) 288-297.
（2） ワイン中のフェノール成分リスベラトロールは心臓病に効果があるか（総説）. 奥田 徹，横塚弘毅，ソーダと塩素 Vol.
45, 237-241 (1994).
その他
授業においては複数の参考書を指定し，かつ授業進行予定をシラバスに詳しく記載している。毎回の授業では，次回の授業内容に関連したプリントを配布し，予習できるようにし，また食品の味，におい，色調の分野の講義では，ワインを例にとって説明し，学生の興味を引きつけ，かつ山梨大学での食品工学・機能食品工学の授業の特徴を出すように努めている。
担当事業科目
学部担当授業科目 : 食品工学
大学院担当授業科目: 機能食品化学，生物機能工学
(1) 東京地方酒類審議会委員（東京国税局，1994〜）
(2) 山梨県技術アドバーザー（1994〜）
(3) 山梨県ワイン産地活性化対策推進会議座長（1996〜）
(4) 山梨県ワイン酒造組合技術アドバイザー（1996〜）
(5) 北海道池田町専門委員（1985〜）